薬学部5年次の実務実習は、大学の講義室では学べない「現場の空気感」を体験できる貴重な期間です。しかし初めての医療現場で緊張や不安を感じたり、覚えることの多さに圧倒されたりする薬学生は少なくありません。
この記事では、病院実習・薬局実習をスムーズに乗り越えるための具体的なコツをまとめました。これから実習に臨む薬学生の方はもちろん、実習中に悩みを抱えている方もぜひ参考にしてください。
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薬学部の実務実習は、薬局実習と病院実習の2つで構成されています。それぞれの期間は各11週間で、合計22週間にわたって実施されます。
実習では調剤業務や服薬指導の実践だけでなく、医療チームの一員としての役割を学ぶことが目的です。指導薬剤師のもとで、大学では体験できないリアルな医療現場のスキルを身につけていきます。
- 薬局実習11週間+病院実習11週間の計22週間
- 調剤・服薬指導・病棟業務など幅広い内容を学ぶ
- 指導薬剤師のもとで実践的なスキルを習得する
実習前にやっておくべき準備
基本的な知識を復習する
実習が始まると新しいことの連続で、基礎知識の確認に充てる時間は限られます。事前に以下の分野を復習しておくと、現場での理解がスムーズになります。
- 代表的な薬の一般名・商品名と薬効
- 臨床検査値の基準値と意味
- よく使われる医療略語(GFR、HbA1c、CRP など)
- 主要な疾患の病態と治療方針
実習先の情報を調べる
実習先の薬局や病院がどのような特徴を持っているのか、事前に調べておきましょう。取り扱っている診療科や処方の傾向を把握しておくと、実習中の学びが深まります。
身だしなみと持ち物の確認
清潔感のある身だしなみは医療従事者として基本中の基本です。白衣や名札、筆記用具、メモ帳など必要な持ち物も事前にリストアップしておきましょう。印鑑が必要な実習先もあるので確認しておくと安心です。

薬局実習を乗り越えるコツ
処方箋の読み方を早めに覚える
薬局実習では処方箋の調剤が中心的な業務になります。処方箋の記載事項(医療機関名、処方医、薬品名、用法用量、日数など)を正確に読み取り、処方意図を考えながら調剤する習慣をつけましょう。
服薬指導は「聞く力」が大切
患者さんへの服薬指導は実習のハイライトです。最初は緊張しますが、まずは患者さんの話をしっかり聞くことを意識してみてください。「今困っていることはありますか」「飲み忘れはありませんか」など、オープンクエスチョンで会話のきっかけを作るのがコツです。
疑義照会の流れを理解する
処方内容に疑問がある場合の疑義照会は、薬剤師の重要な業務の一つです。指導薬剤師の疑義照会の場面に立ち会えたら、「どんなポイントに注目しているのか」「医師にどう伝えているのか」をしっかり観察しましょう。
病院実習を乗り越えるコツ
病棟業務では「チーム医療」を意識する
病院実習の大きな特徴は、医師・看護師・その他の医療スタッフと連携するチーム医療の現場を体験できることです。カンファレンスに参加する機会があれば、各職種がどのような視点で患者さんを見ているのかを学びましょう。
入院患者の薬歴管理を丁寧に
病院実習では入院患者さんの薬歴管理やモニタリングを行います。検査値の推移を追いながら、薬の効果と副作用を評価する訓練は、臨床薬剤師としての基礎力を養うのに直結します。
注射剤・高カロリー輸液の調製
病院ならではの業務として、注射剤の混合調製やTPN(高カロリー輸液)の無菌調剤があります。無菌操作の手順をしっかり理解し、安全に調製できるよう練習しましょう。

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完璧を求めすぎない
実習で何もかもうまくできる学生はいません。ミスをしたり、質問に答えられなかったりしても自分を責めすぎないようにしましょう。失敗から学ぶ姿勢が大切です。
わからないことはすぐ質問する
医療現場では「わからないのに黙っている」ことが一番危険です。指導薬剤師に質問するのは恥ずかしいことではありません。むしろ、積極的に質問する学生は「学ぶ意欲がある」と好意的に受け取ってもらえることが多いです。
生活リズムを崩さない
実習中は帰宅後に日報や課題の作成があり、睡眠時間が短くなりがちです。しかし、寝不足の状態で医療現場に立つのは集中力が低下してミスにもつながります。課題は早めに取りかかり、十分な睡眠を確保することを心がけてください。
悩みは一人で抱え込まない
実習がつらいと感じたら、大学の担当教員や同級生に相談しましょう。同じ時期に実習をしている仲間と情報交換するだけでも気持ちが楽になることがあります。深刻な場合は大学の学生相談窓口も活用してください。
実習中に体調不良を感じた場合は、無理をせず早めに指導薬剤師や大学に報告しましょう。患者さんの安全のためにも、自分のコンディション管理は重要な責任です。
実習後にやるべきこと
お礼状を送る
実習が終了したら、指導してくれた薬剤師や実習先のスタッフにお礼状を書きましょう。指導薬剤師は自身の業務時間を割いて指導にあたっていますので、感謝の気持ちをきちんと伝えることが社会人としてのマナーです。
実習の経験を振り返る
実習で学んだことを振り返り、「自分はどんな薬剤師になりたいのか」を改めて考えてみましょう。実習での経験は就職活動の自己PRや志望動機にも直結するため、具体的なエピソードを整理しておくと後々役立ちます。
実習に関するQ&A
Q. 実習先と合わなかったらどうすればいい?
A. まずは大学の担当教員に相談しましょう。実習先との相性が悪い場合でも、指導薬剤師の方も対応を考えてくれることがあります。一方的に不満をためるのではなく、困っていることを素直に伝える姿勢が大切です。
Q. 知識不足で質問にまったく答えられない場合は?
A. 知識不足は実習生として当然のことなので、気にしすぎる必要はありません。答えられなかった内容はその日のうちに調べてメモし、翌日に「昨日のあの件ですが」とフィードバックすると印象がよくなります。
Q. 実習中に患者さんから個人的な質問をされたら?
A. 自分の判断で回答せず、指導薬剤師に確認してから対応しましょう。薬に関する質問はもちろん、医療相談に近い内容は指導薬剤師を通して回答するのが原則です。
Q. 実習の成績は就活に影響する?
A. 実習先の評価が直接的に就職に影響するケースは少ないですが、実習で得た経験は面接のエピソードとして活用できます。前向きに取り組んだ実績は必ず自分のプラスになります。
Q. 実習先で就職を勧められたらどうする?
A. 実習先から就職の打診を受けることは珍しくありません。その職場に魅力を感じるなら前向きに検討してもよいでしょう。ただし、即答する必要はなく、他の就職先と比較検討する時間を持つことも大切です。「しっかり考えてからお返事させてください」と伝えれば、誠実さが伝わります。
Q. 実習中にメモはどの程度取るべき?
A. 指導薬剤師から教わったことは可能な限りメモを取りましょう。ただし患者さんの前でメモを取る行為は場合によって不適切になることがあるので、タイミングには注意が必要です。業務の合間や昼休みにまとめて書き出すという方法も有効です。メモを取る姿勢は「真剣に学んでいる」という印象を与えるため、指導薬剤師からの評価も高まります。
実習先でよく経験する業務と学びのポイント
薬局実習での代表的な業務
調剤、監査、投薬(服薬指導)、在庫管理、レセプト業務などが中心です。特に服薬指導では、患者さんの生活背景や既往歴を踏まえた個別対応の重要性を実感できるはずです。処方箋の背景にある医師の意図を考えながら調剤する習慣を身につけましょう。
病院実習での代表的な業務
入院患者への薬歴管理、病棟でのカンファレンス参加、注射剤の混合調製、TDM(治療薬物モニタリング)の見学など、病院ならではの業務を体験できます。多職種連携の中で薬剤師がどのような役割を果たしているのかを、しっかり観察してください。

実習を就職活動に活かす方法
実務実習での経験は、就職活動においても強力なアピール材料になります。面接で「実習で何を学びましたか」と聞かれたときに、具体的なエピソードを交えて答えられるよう準備しておきましょう。「こんな患者さんとのやり取りを通じて、服薬指導の大切さを学んだ」「チーム医療のカンファレンスに参加して、薬剤師の役割を実感した」など、自分の言葉で語れるエピソードがあると説得力が増します。実習日誌を振り返って、印象に残った場面をピックアップしておくとよいでしょう。
まとめ
薬学生の実務実習は、薬剤師としてのキャリアの第一歩ともいえる大切な経験です。事前準備をしっかり行い、現場では積極的にコミュニケーションを取り、わからないことは素直に質問する。この3つを意識するだけで、実習の充実度は大きく変わります。
つらい場面もあるかもしれませんが、無理をしすぎず、周囲のサポートを受けながら乗り越えていってください。実習での経験は、これからの薬剤師人生において貴重な財産になります。
(参考:薬キャリ1st「実務実習で意識すべきポイント」、薬+読「薬学部の実務実習」、薬剤師は日本中に浪漫を届けたい「実習が辛い時の対処法」)
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