「認定薬剤師って色々あるけど、どれを取ればいいの?」「取得すると何が変わるの?」――薬剤師としてキャリアアップを考えたとき、認定薬剤師の取得は避けて通れないテーマです。
認定薬剤師とは、特定の分野において高度な知識・技能を持つことを第三者機関が認定した薬剤師のこと。記事執筆時点で、日本には数十種類もの認定・専門薬剤師制度が存在しており、自分のキャリアプランに合った資格を選ぶことが重要です。
この記事では、主要な認定薬剤師の種類、取得方法、費用、メリット、そして「どの認定を取るべきか」の判断基準まで、詳しく解説します。認定薬剤師に興味がある方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
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まず、混同されがちな「認定薬剤師」と「専門薬剤師」の違いを整理しましょう。
認定薬剤師
特定の分野における一定水準の知識・技能を有することを認定された薬剤師です。研修の受講や試験の合格が条件となります。比較的取得しやすく、キャリアアップの第一歩として適しています。
専門薬剤師
認定薬剤師よりもさらに高度な専門性を有することを認定された薬剤師です。認定薬剤師を取得したうえで、症例報告や学会発表などの実績が求められるケースが多く、取得のハードルは高めです。
一般的なキャリアパスとしては「認定薬剤師→専門薬剤師」のステップを踏みます。まずは認定薬剤師から取得し、その後にさらなる専門性を高めるために専門薬剤師を目指すのが効率的です。
主要な認定薬剤師の種類
ここからは、代表的な認定薬剤師の資格を分野別に紹介します。
【基本】研修認定薬剤師
日本薬剤師研修センター(JPEC)が認定する、最も基本的な認定制度です。「かかりつけ薬剤師」になるための要件の一つでもあり、すべての薬剤師にとって取得を検討すべき資格です。
- 取得条件:4年以内に40単位以上の研修を修了
- 更新:3年ごと(30単位以上)
- 費用:研修参加費のみ(認定料は無料~数千円程度)
【がん】がん薬物療法認定薬剤師
日本病院薬剤師会が認定する資格で、がん化学療法に関する高度な知識・技能を持つ薬剤師を認定します。病院薬剤師にとってはキャリアアップの王道とも言える資格です。
- 取得条件:薬剤師経験5年以上、がん治療に関する研修の修了、症例報告、試験合格
- さらに上位:がん専門薬剤師(学会発表や論文実績が必要)
【感染症】感染制御認定薬剤師
日本病院薬剤師会が認定する資格で、院内感染対策のスペシャリストとして活躍できます。ICT(Infection Control Team)のメンバーとして、抗菌薬の適正使用推進に貢献します。
- 取得条件:薬剤師経験5年以上、感染制御に関する研修の修了、試験合格
- 活躍の場:主に病院のICTチーム
【緩和ケア】緩和薬物療法認定薬剤師
日本緩和医療薬学会が認定する資格で、がんの痛みやその他の症状を薬物で管理する専門家です。在宅医療でも重要性が高まっている分野です。
- 取得条件:薬剤師経験5年以上、緩和ケアチームでの活動実績、症例報告、試験合格
- 需要:病院・在宅ともに需要増加中
【精神科】精神科薬物療法認定薬剤師
日本病院薬剤師会が認定する資格です。精神科領域の薬物療法に関する専門知識を持ち、精神科の医師や看護師と連携して患者さんの治療をサポートします。
【漢方】漢方薬・生薬認定薬剤師
日本薬剤師研修センターと日本生薬学会が共同で認定する資格です。漢方薬や生薬に関する深い知識を持つ薬剤師として、調剤薬局やドラッグストアで差別化を図ることができます。
- 取得条件:所定の研修(e-ラーニング含む)の修了、試験合格
- 特徴:比較的取得しやすく、調剤薬局勤務の薬剤師にも人気
【在宅】在宅療養支援認定薬剤師
日本在宅薬学会が認定する資格で、在宅医療における薬学的管理の専門性を証明します。高齢化に伴い需要が急増している分野です。
【糖尿病】糖尿病薬物療法認定薬剤師
日本くすりと糖尿病学会が認定する資格です。糖尿病は国民病とも言われる疾患であり、薬物療法の専門家としてのニーズは非常に高いです。

認定薬剤師を取得するメリット
かかりつけ薬剤師の要件を満たせる
研修認定薬剤師は、かかりつけ薬剤師の要件の一つです。かかりつけ薬剤師が行う服薬管理指導やフォローアップ加算など調剤報酬上の評価が手厚いため、薬局の経営面でも重要な資格となっています。
年収アップ・昇進に有利
認定薬剤師の資格を持っていると、資格手当が支給されるケースがあります。金額は企業によって異なりますが、月額5,000円~30,000円程度の手当が一般的です。また、昇進の際の評価項目になる場合もあります。
転職市場での差別化
認定薬剤師の資格は、転職時に他の候補者との差別化ポイントになります。特に、がんや緩和ケアなどの専門分野の認定を持っていると、病院薬剤師の求人で有利になります。
専門性の証明
患者さんや他の医療従事者に対して、自分の専門性を客観的に証明できます。チーム医療の中で「この分野ならこの薬剤師に聞こう」と頼りにされる存在になれます。
自己成長とモチベーション維持
認定の取得・更新を通じて、継続的に学び続ける姿勢が維持できます。マンネリ化しがちな日常業務に、新たな目標を設定することでモチベーションを高く保てます。

認定薬剤師の取得方法(一般的な流れ)
認定の種類によって詳細は異なりますが、一般的な取得の流れは以下のとおりです。
ステップ1:認定制度の要件を確認
まず、取得したい認定の要件(経験年数、必要な研修単位、試験の有無など)を確認します。認定団体の公式サイトで最新の情報を確認しましょう。
ステップ2:研修の受講
指定された研修プログラムを受講します。研修は以下の形式で提供されることが多いです。
- e-ラーニング:自宅でオンライン受講が可能
- 集合研修:学会や研修会場での対面講義
- 実務研修:指定施設での実地研修
- 学会参加:学会への参加で単位取得
ステップ3:症例報告の提出(該当する場合)
がんや緩和ケアなどの認定では、実際に経験した症例の報告が求められます。日常業務の中で意識的に症例を記録しておくことが大切です。
ステップ4:試験の受験
多くの認定制度では筆記試験が課されます。研修で学んだ内容が出題されるため、研修をしっかり受講していれば対応可能です。
ステップ5:認定の取得と更新
試験に合格すると認定証が交付されます。認定には有効期限(多くは3~5年)があり、更新のためには継続的な研修受講や活動実績が必要です。
認定の取得には費用がかかります。研修参加費、試験受験料、認定料などを合計すると、数万円~十数万円になるケースもあります。勤務先に資格取得支援制度がある場合は、積極的に活用しましょう。
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ファル・メイトの公式サイトはこちらどの認定薬剤師を目指すべきか?勤務先別のおすすめ
「種類が多すぎて選べない」という方のために、勤務先別のおすすめを紹介します。
調剤薬局勤務の場合
- 最優先:研修認定薬剤師(かかりつけ薬剤師の要件)
- おすすめ:漢方薬・生薬認定薬剤師(差別化に効く)
- 在宅をやるなら:在宅療養支援認定薬剤師
- 専門性を高めるなら:糖尿病薬物療法認定薬剤師
病院薬剤師の場合
- 最優先:研修認定薬剤師
- 人気が高い:がん薬物療法認定薬剤師
- ICT活動をしているなら:感染制御認定薬剤師
- 緩和ケアチームなら:緩和薬物療法認定薬剤師
- 精神科病院なら:精神科薬物療法認定薬剤師
ドラッグストア勤務の場合
- 最優先:研修認定薬剤師
- OTC販売力強化:漢方薬・生薬認定薬剤師
- セルフメディケーション:健康サポート薬局の認定要件を意識した研修

認定薬剤師の取得にかかる費用と時間
費用の目安
| 認定の種類 | 費用目安(取得まで) |
|---|---|
| 研修認定薬剤師 | 3万~5万円 |
| がん薬物療法認定薬剤師 | 5万~10万円 |
| 感染制御認定薬剤師 | 5万~8万円 |
| 漢方薬・生薬認定薬剤師 | 3万~6万円 |
| 在宅療養支援認定薬剤師 | 3万~5万円 |
※研修参加費、受験料、認定料の合計。交通費は含まず。
取得にかかる期間
研修認定薬剤師は1年~2年程度で取得可能です。専門性の高い認定(がん、感染症など)は、要件を満たすまでに3年~5年程度かかるのが一般的です。
日本病院薬剤師会(JSHP)のサイトでは、各種認定制度の詳細情報が公開されています。
よくある質問(Q&A)
Q1. 認定薬剤師を持っていないと仕事に支障がありますか?
認定がなくても薬剤師としての業務自体は問題なく行えます。ただし、「かかりつけ薬剤師」になるには研修認定薬剤師が必要であり、病院によっては特定の認定を持つ薬剤師を優遇するケースもあります。キャリアの幅を広げるという意味では、取得しておいて損はありません。
Q2. 認定の更新を忘れたらどうなりますか?
更新期限を過ぎると認定が失効します。失効した場合、再度一から取得手続きを行う必要があるケースが多いです。更新期限は手帳やカレンダーに記録し、計画的に更新研修を受講しましょう。
Q3. 複数の認定を同時に取得できますか?
可能です。実際に、研修認定薬剤師に加えて、がん薬物療法認定薬剤師と感染制御認定薬剤師を同時に保有している薬剤師もいます。ただし、それぞれに研修や更新の負担があるため、自分のキャリアに本当に必要な認定を選ぶことが大切です。
Q4. e-ラーニングだけで取得できる認定はありますか?
研修認定薬剤師は、e-ラーニングの受講だけで必要な単位を取得することが可能です。仕事をしながらでも自宅で学習できるため、時間の確保が難しい方にもおすすめです。ただし、専門分野の認定は実地研修や症例報告が必要なケースが多いです。
Q5. 認定薬剤師の資格は転職時にどの程度評価されますか?
転職先によって評価の度合いは異なりますが、特に病院への転職ではがん薬物療法認定薬剤師などの専門認定が高く評価されます。調剤薬局への転職では、研修認定薬剤師や漢方認定が差別化ポイントになります。
Q6. 薬剤師経験が浅くても取得できる認定はありますか?
研修認定薬剤師は薬剤師経験の年数要件がなく、免許取得後すぐに単位取得を開始できます。漢方薬・生薬認定薬剤師も、経験年数の要件が比較的緩やかです。一方、がんや感染症の認定は5年以上の経験が求められるため、まずは取得できるものから順番に進めていきましょう。
まとめ
認定薬剤師は、薬剤師としての専門性を客観的に証明し、キャリアアップにつなげるための有効な手段です。種類は多岐にわたりますが、自分の勤務先や将来のキャリアプランに合わせて選ぶことが大切です。
認定薬剤師を目指す際のポイントをまとめます。
- まずは「研修認定薬剤師」から取得する(すべての薬剤師におすすめ)
- 勤務先や興味のある分野に合わせて専門認定を選ぶ
- 費用は勤務先の資格取得支援制度を活用する
- 更新を忘れないよう、計画的に研修を受講する
- 認定取得をゴールにせず、日常業務に活かすことを意識する
認定薬剤師の取得は、「なんとなく」ではなく「目的を持って」取り組むことで、その価値が最大化されます。自分のキャリアをどう築いていきたいのか、改めて考えたうえで、最適な認定にチャレンジしてみてください。

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