「かかりつけ薬剤師って最近よく聞くけど、具体的にどうやったらなれるの?」「自分でも目指せるのかな?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。
かかりつけ薬剤師制度は、患者さん一人ひとりに寄り添った薬物療法を提供するための仕組みとして注目を集めています。制度開始以来、地域医療における薬剤師の役割はますます重要になっています。
かかりつけ薬剤師になるためには、一定の要件を満たす必要がありますが、調剤薬局で働く薬剤師であれば多くの方が目指すことのできる資格です。取得することで、患者さんとの信頼関係が深まり、やりがいのある仕事ができるようになります。
この記事では、かかりつけ薬剤師になるための具体的な要件や手順、取得後のメリット、そして実際の業務内容まで、詳しく解説していきます。

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かかりつけ薬剤師とは、患者さんが自分で選んだ信頼できる薬剤師のことです。患者さんの服薬状況を一元的・継続的に把握し、薬物療法の安全性・有効性を高めることを目的としています。
この制度は、患者さんが複数の医療機関から処方された薬の飲み合わせを確認したり、OTC薬やサプリメントとの相互作用をチェックしたりすることで、より安全な薬物療法を実現するものです。
かかりつけ薬剤師が担う主な役割は以下の通りです。
- 処方薬の一元的な管理
- 24時間対応(電話相談など)
- 医療機関への情報提供(服薬情報提供書の作成)
- 残薬管理・ポリファーマシー対策
- 在宅医療への対応
かかりつけ薬剤師は、「この薬剤師さんに任せたい」と患者さん自身が選ぶ仕組みです。薬剤師側が一方的に指名することはできません。
かかりつけ薬剤師になるための要件
かかりつけ薬剤師になるためには、厚生労働省が定めた要件を満たす必要があります。具体的な要件を確認していきましょう。
薬剤師としての実務経験
保険薬剤師としての勤務経験が3年以上あることが必要です。この3年間は、保険薬局での勤務経験が対象となります。病院での勤務経験のみでは要件を満たせない点に注意してください。
同一薬局での継続勤務
当該保険薬局に週31時間以上勤務していること、かつ、その薬局に6ヶ月以上在籍していることが求められます。パートタイムの場合でも、週31時間以上の勤務であれば要件を満たせます。
研修認定薬剤師の取得
薬剤師認定制度認証機構が認証する研修認定を取得していることが必要です。研修認定薬剤師の取得には、所定の研修単位(4年間で40単位以上)を取得し、認定試験に合格する必要があります。
医療に関わる地域活動への参画
地域の医療に関わる活動(地域包括ケアシステムへの参加、学校薬剤師としての活動、地域の健康イベントへの参加など)に積極的に関わっていることが求められます。

かかりつけ薬剤師になるまでの具体的な手順
ここからは、かかりつけ薬剤師になるための具体的なステップを順番に紹介します。
ステップ1:研修認定薬剤師を取得する
まだ研修認定薬剤師を持っていない場合は、研修単位の取得から始めましょう。e-ラーニングや集合研修、学会参加などで単位を取得できます。薬剤師認定制度認証機構(CPC)のサイトで、認証された研修プログラムを確認できます。
ステップ2:勤務要件を確認・整える
現在の勤務状況が要件を満たしているか確認しましょう。週31時間以上の勤務時間、6ヶ月以上の同一薬局での勤務実績が必要です。転職を考えている場合は、まず勤務要件を満たしてからかかりつけ薬剤師を目指すことをおすすめします。
ステップ3:地域活動に参加する
地域の医療に関わる活動に積極的に参加しましょう。学校薬剤師の活動、地域の健康フェア、薬剤師会の活動などが対象となります。日頃から地域との関わりを意識しておくことが大切です。
ステップ4:薬局での届出
すべての要件を満たしたら、勤務先の薬局を通じて届出を行います。届出が完了すると、かかりつけ薬剤師として患者さんの同意を得た上で、服薬管理指導料の「かかりつけ薬剤師が行った場合」の区分や、薬剤師フォローアップ加算(50点)、かかりつけ薬剤師訪問加算(230点)などの算定が可能になります。
ステップ5:患者さんの同意を得る
かかりつけ薬剤師として活動するには、患者さんからの同意書が必要です。日頃から丁寧な対応を心がけ、信頼関係を築いておくことが重要です。
かかりつけ薬剤師の同意書は、患者さんの自由意思に基づくものです。同意を強要したり、誤解を招くような説明をしたりすることは必ず避けてください。
かかりつけ薬剤師のメリット
かかりつけ薬剤師になることで、薬剤師自身にも患者さんにも多くのメリットがあります。
薬剤師側のメリット
診療報酬上の加算が算定できる
2026年6月の調剤報酬改定により、従来のかかりつけ薬剤師指導料(76点)・包括管理料(291点)は廃止され、服薬管理指導料に統合されました。ただし、かかりつけ薬剤師が行った場合の区分に加え、薬剤師フォローアップ加算(50点)やかかりつけ薬剤師訪問加算(230点)など、実績に基づく新たな加算が算定できます。継続的なフォローアップの実績が評価される仕組みになっており、薬局の経営面でもプラスとなります。
患者さんとの深い信頼関係が築ける
一人の患者さんに継続的に関わることで、より深い信頼関係を構築できます。「あなたに薬のことは任せたい」と言ってもらえる喜びは、薬剤師としてのやりがいに直結します。
キャリアアップにつながる
かかりつけ薬剤師としての実績は、薬局長や管理薬剤師への昇進にも有利に働きます。また、転職時にもアピールポイントになります。
患者さん側のメリット
- 複数の医療機関から処方された薬の一元管理
- 夜間・休日でも電話相談ができる安心感
- 残薬の管理や飲み忘れ防止のサポート
- OTC薬やサプリメントとの相互作用チェック

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かかりつけ薬剤師になると、通常の調剤業務に加えて、以下のような業務が発生します。
お薬手帳の一元管理
患者さんのお薬手帳を確認し、他の医療機関で処方された薬も含めて一元的に管理します。重複投薬や相互作用のチェックを行い、問題があれば処方医に疑義照会を行います。
24時間対応
かかりつけ薬剤師は、原則として24時間対応が求められます。夜間や休日でも、患者さんからの電話相談に対応できる体制を整えておく必要があります。ただし、すべての問い合わせに即座に対応する必要はなく、緊急度に応じた適切な対応が求められます。
服薬情報提供書(トレーシングレポート)の作成
患者さんの服薬状況や副作用の発現状況などを、処方医に情報提供する書類を作成します。これにより、医師との連携が強化され、より適切な薬物療法の提供につながります。
在宅訪問対応
必要に応じて、患者さんのご自宅を訪問し、服薬状況の確認や残薬の整理を行います。在宅医療への対応は、今後ますます重要になる分野です。
かかりつけ薬剤師の業務に関する詳しいガイドラインは、厚生労働省の公式サイトで確認できます。
かかりつけ薬剤師に向いている人の特徴
かかりつけ薬剤師として活躍するためには、一定のスキルや特性が求められます。以下のような方は、かかりつけ薬剤師に向いているといえるでしょう。
コミュニケーション能力が高い
患者さんとの信頼関係を築くためには、丁寧でわかりやすいコミュニケーションが不可欠です。薬の説明だけでなく、患者さんの不安や悩みに耳を傾ける姿勢が大切です。
責任感が強い
24時間対応や一元管理など、通常の薬剤師よりも大きな責任を担います。患者さんの健康を預かっているという自覚を持ち、誠実に対応できることが重要です。
継続的に学ぶ意欲がある
医療は日々進歩しています。最新の薬学知識を常にアップデートし、患者さんに最善の情報を提供できるよう、継続的な学習が必要です。
地域医療に関心がある
かかりつけ薬剤師は地域包括ケアシステムの重要な担い手です。地域の医療に貢献したいという志を持っている方に向いています。
かかりつけ薬剤師制度の今後の展望
かかりつけ薬剤師制度は、今後さらに拡充・発展していくことが予想されます。
厚生労働省は、日本保険薬局協会などと連携しながら、かかりつけ薬剤師の機能強化を進めています。対物業務から対人業務へのシフトが加速する中で、かかりつけ薬剤師の存在意義はますます高まっています。
また、オンライン服薬指導の普及や電子処方箋の導入により、かかりつけ薬剤師の業務形態も変化していくことが見込まれます。デジタル技術を活用した新しい形のかかりつけ薬剤師像が求められる時代が来ているのです。

よくある質問(Q&A)
Q1. かかりつけ薬剤師になるのに試験はありますか?
かかりつけ薬剤師自体の試験はありません。ただし、要件として研修認定薬剤師の取得が必要であり、その取得には研修単位の取得と認定手続きが求められます。要件をすべて満たし、届出を行えばかかりつけ薬剤師として活動できます。
Q2. パートやアルバイトでもかかりつけ薬剤師になれますか?
週31時間以上の勤務が要件の一つとなっているため、それを満たしていればパートでも可能です。ただし、同一薬局に6ヶ月以上勤務していることも必要です。週31時間未満の短時間パートの場合は、要件を満たせません。
Q3. 24時間対応は大変ではないですか?
実際には、夜間に電話がかかってくることはそこまで多くありません。ただし、対応できる体制を整えておく必要はあります。薬局によっては、輪番制で夜間対応を分担しているところもあります。事前に患者さんと緊急時の対応について話し合っておくことで、負担を軽減できます。
Q4. かかりつけ薬剤師の同意を得るコツはありますか?
日頃から丁寧な服薬指導を心がけ、患者さんとの信頼関係を築くことが最も重要です。制度のメリットをわかりやすく説明し、患者さん自身が「この薬剤師に任せたい」と思えるような関係づくりを目指しましょう。無理な勧誘は逆効果です。
Q5. かかりつけ薬剤師を辞めることはできますか?
はい、可能です。転職や異動などの事情で同一薬局での勤務要件を満たせなくなった場合、かかりつけ薬剤師としての活動は継続できなくなります。その場合、担当していた患者さんには事情を説明し、他の薬剤師への引き継ぎを丁寧に行うことが大切です。
Q6. 病院薬剤師からかかりつけ薬剤師を目指す場合、何から始めればいいですか?
まず調剤薬局への転職が必要です。保険薬局での勤務経験3年以上が要件のため、転職後に経験を積みながら、並行して研修認定薬剤師の取得を進めましょう。転職先を選ぶ際は、かかりつけ薬剤師の育成に積極的な薬局を選ぶのがおすすめです。
まとめ
かかりつけ薬剤師は、患者さんに寄り添った薬物療法を提供するための重要な制度です。なるための要件は、保険薬局での実務経験3年以上、研修認定薬剤師の取得、同一薬局での6ヶ月以上の勤務、地域活動への参画などがあります。
取得することで、診療報酬上の加算算定、患者さんとの深い信頼関係の構築、キャリアアップなど、多くのメリットが得られます。今後、地域医療における薬剤師の役割がますます重要になる中で、かかりつけ薬剤師の存在は欠かせないものとなるでしょう。
まずは研修認定薬剤師の取得から始めて、一歩ずつ着実にステップアップしていきましょう。
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